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6月が終わる。
窓を開けるにはまだ少し寒いようなしかし肌を触るような鬱陶しくも、感じる残暑にも似たこの暑さには流れる風がちょうど良いのかもしれない。
高くも低くもない空と帰っていく彼を見てまた考える。
自分が普通に産まれていれば。毎回普通という言葉に詰まる。私が本物であれば普通なのか。私が人を疑い怯えなければ普通なのか。私がこんな体でなければ普通なのか。普通が人によって違うだなんて陳腐なフレーズはもう思いつかない。
今、病室の窓を斜めに切るようにして引かれた飛行機雲は自分と世界を切り離してるようだ。いつもなら少しも経たずに空に馴染むはずの線はやけにはっきりと区切ったままだった。
枯れ始めた花に目を移し再び思考する。
兄について、私に一番近く私が1番遠のいてる存在。今年も見捨てず花を持ってきてくれるだろうか。
いつの間にか霞んでいた雲は私が馴染むことを示してくれてるのか。しにがみが私をさらっていく暗示なのか。
静かになった病室には風の音だけがただ流れていく。

【UTAUカバー】とても素敵な6月でした【UTAU音源配布】 - ニコニコ動画 (nicovideo.jp)

 

​より

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